行政書士の横山です。
前回に続き、駐日イラン・イスラム共和国大使館についてです。
アメリカとイランの関係について、歴史をふまえてお知らせした、前回の記事はこちら↓
認証についてのおさらい
「領事認証」と言われても、あまりなじみがないと思いますので、ここでおさらいします。
日本国内で作られた文書(例:戸籍謄本、パスポート、契約書など)は、日本語で書かれています。
たとえ英語で書いてあっても、サインやその文書じたいが本物かどうかは、外国人からすると確認できませんね。
逆を考えるとわかりやすいと思うのですが、例えばタイ人の方がタイの役所発行の証明書をもってきて、これが証拠だからと言っても、私たちはタイ語が読めないし、そもそも本物なのかどうかもわからないですよね。
仮に、この人がパソコンで自分で作ったとしても、偽物と見抜くことはできません。
でもその書類に、タイにある日本大使館の「この書類は本物ですよー」という「お墨付き」があったら、安心しますよね。
日本大使館の「お墨付き」が本物かどうかは、日本の外務省に問い合わせれば確認できるからです。
領事認証にはそういう効果がありまして、要は、外国人のサインや書類が本物であるということを、自国の大使館が証明し、有効化する仕組みです。
今回の認証書類は特許出願の委任状でしたが、これを領事認証することで、イラン・イスラム共和国の特許庁が信用してくれるようになるのです。
領事認証のプロセス
日本での領事認証は、原則として3重にまたがって確認されて、やっと受けることができます。
まず、公証役場の公証人がこの書類は「正しい」として署名押印します。
次に、この公証人が帰属する役所である法務局が「この公証人は間違いなくウチの機関である」として、法務局長が記名押印します。
そして「ここに押してある印は本物で、法的に有効である」として、今度は外務省(の職員)が記名押印します。
最後に「この日本の外務省の印は間違いない」として、外国の大使館(の領事)が署名押印します。
これで書類は、提出先国にとって受入可能なものとなります。
大使館認証を経ることなく書類を法的に有効化できるのが「アポスティーユ」で、ハーグ条約加盟国間で有効な手続きです。
また、東京、神奈川、埼玉、大阪にある公証役場では、外務省の公印確認までをワンストップでやってくれるサービスがあります。
イラン・イスラム共和国大使館
すっかり前置きが長くなりました。
東京のイラン・イスラム共和国大使館は、南麻布にあります。
HPでは認証手数料は一部を除いて銀行振込するようにとありましたが、実際には申請料支払いの自動販売機が領事部に置いてあり、券を発行する形で当日払いできます。
代理で行く場合は委任状が必要かとか、処理にかかる日数なども事前に電話で確認したのですが、「担当者が変わったばかりでわからない」と言うことでした。
イランの特許出願には期限があり、委任状も提出期日が決まっていたので心配でしたが、ふたを開けてみれば、即日処理してくれて大変助かりました。
雨の日の午前中だったせいか、窓口も空いていましたし、静かで落ち着いた大使館でした。
トップの写真は、外務省の公印確認ですが、その横に赤いバッテンをつけるのが、イラン・イスラム共和国大使館のチェックの印だそうです。
別途、領事のサインもいただき、無事完了できました。
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