「横山さんにめぐり会えたことが、今年一番の幸せでした。」

昨年、そんな身に余るお言葉をいただいた事例です。

アメリカに住んでいたお母様が亡くなり、老齢年金を相続することになった女性の方からのご依頼です。

アメリカ人弁護士さんから相続の連絡があり、アメリカ在住の友人が間に入ってくれていたのですが、ITINの申請は難しかったそうです。

その上弁護士さんも具合が悪く、手続きを急がないと…という状況でした。

ITINの他の事例、関連記事はこちら↓

行政書士の横山です。 前回に続き、2016年に申請したITINの事例について、ご紹介いたします。 前回の記事はこちら↓ ...続きを読む

アメリカでの相続の流れ

さてアメリカの相続にはITINが必要なのでしょうか?

いいえ、必ずしもそうとは限りません。

アメリカの相続手続きは、日本と考え方が異なります。

日本では人が亡くなると、亡くなった方(被相続人)の財産は、配偶者やお子様など(相続人)の財産となります。

相続人が複数いる場合は、分割協議が終わるまで相続人全員の共有財産となります。

ところがアメリカでは、被相続人の財産は亡くなった故人の所有と考え、亡くなった方の名の下に相続税を支払います。

死後にどうやって払うの?と思いますが、生前に遺言を託した弁護士さんがいればその方が、いなければ国選の遺産管財人がまずは税金を払ってくれます。

その後、遺言や法律に従って残りの遺産を分割して、相続人に渡すという流れです。

そのため相続人は、基本的には相続税の支払いをする必要が無いのがアメリカのシステムです。

ITINが必要な場合

今回のお客様はお母様の遺言により、お母様が生前積み立てていた老齢年金を相続することになりました。

アメリカの老齢年金はIRA(Individual Retirement Account)といって、積み立てている期間は投資の利回りに税金がかからないそうです。

その代わり老後になっていざIRAを引き出したときに、その税金を払わなくてはならないルールです。

お客様はIRAをもらうにあたり、このいわば先送りされていた税金を払うためにITINが必要になりました。

銀行とのやりとり

IRAの解約、税金の支払い、相続人への払い出しは、すべてMorgan Stanley銀行を通じて行われました。

銀行の担当者からお客様へ連絡が来ていたので、その指示に従って必要な資料を取得、ITINを申請しました。

2ヶ月経って無事にITINがアサインされ、銀行への確認書にサインして送付していただきました。

その間銀行からの指示や確認書の返送報告、IRAの払い出しの報告など、銀行担当者にもお世話になりました。

メールでのやりとりでしたが、返信が早くて助かりました。

ドルを受け取るために

お客様の相続財産はIRAだけでなく、お母様の家屋や車を処分した現金もありました。

こちらのお金はアメリカの弁護士さんが、日本の銀行へ送金できないと困っておられました。

実際は大手の都市銀行や地銀ならどこでも受け取れるのですが、海外送金にはSWIFTコードや銀行番号などを事前に知らせなくてはならず、ちょっと複雑です。

お客様には三井住友信託銀行で口座開設をしていただいたところ、すぐに振込があったと喜んでくださいました。

三井住友信託銀行はアメリカのCitibankの業務を引き継いでいるので、アメリカからの着金もスムーズだったようです。

一方IRAのお金の方は、小切手が発行されてお客様へ郵送されたのですが、その小切手も三井住友信託銀行で換金なさったそうです。

 

半年ほど経ってあらためてご連絡をいただき、お母様の故郷へ行ってご親戚に会ったことや、次はお母様の暮らしたシカゴへ旅行する予定だとお知らせくださいました。

IRAの手続きは初めてでしたが、順調に手続きできて、またお客様がとても喜んでくださり嬉しかった案件です。

過去の記事もご参照ください。

アメリカ駐在員のご家族向け

早いもので3月も終盤、3月は確定申告の手続で大変だった方も多いと思います。 ITIN(個人納税者番号) ところで、アメリカにお住まいでソーシャルセキュリティナンバーの無い方やその扶養家族には、税金手続のためにITIN(個人の納税者番号)を取得する必要があるそうです。 ...続きを読む

アメリカでロイヤリティ収入のある方に(2016年の記事です)

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