日本でメジャーなレストラン予約サイトと言えば「食べログ」や「ホットペッパーグルメ」などがありますね。
私もよく利用しています。

今回担当したのは、同様他社のレストラン予約サイトにおける「利用規約」の英訳でした。

サイトの運営側としては、外国人顧客が増えてきたことから、利用規約を英語にする必要性を感じたようです。

日本食は世界的に人気ですし、外国人旅行客によるネット予約も増えているのでしょう。

一方で外国人客が予約しておきながら現れなかったり、マナーが悪くて他の利用客に迷惑をかけたりという話も聞いたことがありますから、キャンセルチャージや利用を断る可能性があることを予約サイト上で事前に案内しておけば、トラブルを未然に防ぐ効果がありそうです。

日本と海外、翻訳の違い

英文契約書にもさまざまな種類がありますが、日本語→英語に訳する場合は、日本語の書式に従って訳すことが多いです。

契約書の文言は日本語でもわかりづらく難しいですが、英語でも独特の言葉遣いがあって、直訳できないこともあります。

私は書式や言い回しをできるだけ自然な英語にすることに重点をおいていて、そうするといわゆる意訳になってしまうこともありますが、意味と解釈に支障が無ければ外国人が読んで自然な方が良いと思っています。

ただクライアントによっては直訳を好む場合もあるため、そこはお客様のご意向にあわせています。

日本らしい条項

今回の利用規約を含めて日本の契約書の多くに規定があるけれども、英文契約書にはほぼ存在しない条項があります。

それは「反社会的勢力に関する条項」、暴力団関係者との関連を否定するものです。

また、契約後に反社会的勢力との関連性がわかったときは取引や契約行為を取り消せるような規定を入れることもあります。

最近では芸能人やスポーツ選手でも暴力団関係者との交流には厳しい処分がなされていますから、日本の契約書にはほぼ必ず見られる条項です。

この反社会的勢力を英語にすると、Anti-social forcesと訳すことが多いようです。

あまりに直球で(笑)ちょっと違和感も感じ得ませんが、日本独特の言葉なのでこうなるのですね。

英文契約書に多い表現

逆に、英文契約書に多い表現として、「例示列挙」があると思います。

もちろん日本でも「○○および××ならびに△△」といった表現はあるものの、多くを継続して例を挙げると読みづらくなってしまいます(ただし法律の文言には、よくあります)。

英文契約書では、例えば「危険負担」や「免責事項」のところで

顧客の来店または経営者もしくは業者による本サービスに関連した履行、不履行、行為、もしくはポリシーに起因する、または何らかの関連がある、あらゆる種類の損傷、損失、請求、または直接的損害もしくは特別的、懲罰的、処罰的、派生的損害に対し、契約、不法行為、その他に基づくか否かにかかわらず、またかかる損害が発生する可能性を事前に通知されていた場合であっても、法的責任を負わない。

のような書き方がよくあり、いかにも外国らしいですよね。

日本は島国なので、価値観が同等という前提のもと何か不都合があったら協議して解決する「協議解決条項」を設けて、上記のような多数の列挙を避けている契約書が多いです。

一方異なる多数の民族によって成立している国(例えばアメリカなど)では、全員が一致する常識を定義すること自体が難しいので、誤解を防ぐ必要があるのですね。

 

グローバル化に伴い、日本の契約書も今後書き方が変わっていくでしょうが、常に読む人の立場に立った業務を心がけたいものです。

最後までお読み頂きありがとうございました。この記事が参考になりましたら、この記事を共有していただけると嬉しいです。
Share on facebook
Facebook
0
Share on twitter
Twitter
Share on google
Google
Share on email
Email