マレーシアの工業団地についてお話を伺いました。
私が一昨年滞在していたジョホールバルの、イスカンダール開発地域にある工業団地です。
日本の製造業で東南アジア進出を考える会社さんには、「マレーシアはもう終わった」というご意見が多いようです。
確かに、人件費も物価水準も高く、他国への進出が容易になってきたこともあり、マレーシアにこれから進出という声は少ないのが事実です。
そのような環境の中、こちらの工業団地はシンガポールの会社が運営し、通常の東南アジアの工業団地とは差別化した点がたくさんあります。
私はこの工業団地と直接関係がある訳では無いのですが(笑)、以前滞在した地域が活性化すれば嬉しいため、ご紹介しようと思いました。
場所:ジョホールバル南西部ヌサジャヤ地区
ジョホール州内にいくつかあるイスカンダール開発地域の中でも、政府の力が入っていることが一番感じられる地域です。
私も何度か視察に行きましたが、ジョホール州の州政府がこの地域に集まり、既に機能しています。
学校や住宅、コンドミニアム、ホテルや商業施設の建設が進み、ジョホールバルの他の地域と比べて「あか抜けている」印象が強いです。
一昨年の記憶ではヌサジャヤに工業団地があったっけ?という感じなのですが、運営会社のお話によると、マレーシア-シンガポール両政府により、教育や商業だけでなく、産業の誘致を目的に開発されたそうです。
特徴:小分け、高級感
東南アジアの工業団地というと広い敷地に大きな工場や倉庫があり、ある意味無機質な風景を想像しますが、この運営会社では小規模な工場をデザイン設計するサービスも行い、各社個性的な建物を建てることができます。
安価に大量生産するというよりは、医薬品や消費材など研究開発しながら生産する業種が、このデザイン工場ではターゲットになるようです。
他に一般的な製造業でも、シンガポールで操業していた会社が、30年間の借地権が切れた後にこの地域に移動する場合は、シンガポール政府から支援策(減税など)があるそうです。
他国に移動する企業に支援があるとは珍しいと思いますが、これはマレーシア-シンガポール両政府が共同開発するイスカンダールならではの特徴です。
生活:職住接近
ヌサジャヤ地区には、地区内はもちろん、周辺にも新しい住宅地が開発され、車で10分ほどの範囲に、一戸建てもコンドミニアムも供給数が十分あります。
団地内にもレジデンスの建設が決定し、工場で働く人たちは職場に近いところに住むことができます。
シンガポール国内の工場に勤める人たちの多くは、ジョホールバルから通っているため、工場自体がイスカンダール開発地域に移ることで、通勤時間やコストを大幅にカットできます。
シンガポールから通う場合でも、国境の橋が近いので(車で5分ほど)、通勤だけでなく資材の供給にも不便はありません。
シンガポール人から見た、ジョホールバルの欠点というと
- 治安が悪い
- 人が少ない
ことが挙げられます。
それを踏まえてこの工業団地では、団地内に警備員を配して部外者の立ち入りを監視するなど、治安に関する配慮をし、人材派遣会社と協力して労働者集めにも力を入れています。
ヌサジャヤ・テックパーク
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