宣誓供述書をご存知でしょうか。
米国大統領選挙後の数々の裁判において、証拠として使われています。
宣誓供述をした人は供述内容に対して責任がある=偽証だった場合は最高で懲役5年に処される可能性がある、とも言われており、大変重みのあるものです。
中には人生をかけて宣誓供述しているという証人もいて、深刻でドラマチックです。
ただ宣誓供述(Affidavit)自体は、一般的な証明方法として便利に使われているので、今回はその事例をご紹介したいと思いました。
宣誓供述書とは?
米国大使館の説明を引用します。
宣誓供述書とは、ご自身の供述を誓った、様々な目的で使用される書類です。米国大使館では、宣誓供述書の内容に関する正否は確認しません。宣誓供述に署名をする方の本人確認を行うだけです。
宣誓供述書は間違いがあってはいけないのですが、裁判に限らず様々な目的に利用され、米国大使館でも宣誓供述のwitness(目撃者)になってもらえます。
証明書(Certificate)との違い
まずは、宣誓供述書と証明書の違いについて、ざっくりとご説明します。
宣誓供述書が裁判証拠として使用され、供述内容が嘘だった場合はしかるべき罰則を受けるものであることに対し、証明書は、記載事項が正しく実行(解釈や運用とも言える)されていることを証する、スタンプのようなものだとされています。
在職証明書や卒業証明書を例にしてみます。
在職証明書は、誰が、どこの会社に、いつからいつまで在職していました、という事実を会社が証明します。
卒業証書は、誰が、どこの大学の、何学部を、何年何月何日に卒業しました、という事実を学校が証明します。
一方で、「私がどこの会社にいつからいつまで在職したことは、事実で間違いありません」と宣誓供述してwitnessしてもらうと、証明書(証拠)として機能してくれます。
直近の事例
つい先日あった、別の事例をご紹介します。
ある日本企業が、米国でアカウントの開設をしようと、粛々と準備していました。
ところが「日本で適法に存在していることを証明する書類が必要」と、開設期限の1週間前になって、米国側が言ってきたそうです。
企業が適法に存在することを証明するのは、日本では法人登記事項証明書(いわゆる謄本)がベストです。
しかし米国に提出するには、まず英訳してアポスティーユを取得するなりしないと、証明書として通用しません。
作成してオリジナルを米国に届けるまでに1週間しかなかったので、正直時間的に厳しかったのです。
ところが最終的には米国の弁護士さんに、
この企業の住所はどこで
設立はいつで
代表者はだれで
現在適法に存在しています
と、現地で宣誓供述してもらうことで大丈夫だったそうです。
日本語で宣誓供述書で検索すると、外国企業の設立の際に使用する例が出てきます。
当事務所でも実績がありますが、米国の社長さんや顧問弁護士さんに、上記のように宣誓供述してもらったものに現地でアポスティーユをつけることで、日本の法務局で証明書として使用できます。
宣誓供述をして設立した、米国企業日本営業所の事例はこちら↓
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