パスポートがないんですが、大丈夫でしょうか?
とのご連絡を下さったのは、ご結婚を控えたお嬢様でした。
ハワイでの結婚式に、ベトナム人のご家族が出席するため、アメリカビザを取得したいとのこと。
ただ、お父様と弟さんがパスポートをもっていないそうです。
代わりに再入国の許可書しかないとのお話でしたが、以前にも同様のお問い合わせを頂いたことがあったので、再入国の許可書でもビザ申請できることはわかっていました。
再入国の許可書とは?
日本に在留する外国人の方にとって、馴染みがあるのはみなし再入国の許可ですね。
これは在留資格をもって滞在する外国人が日本を出国する際に、1年以内に戻って同じ在留資格の元に活動をするつもりなら、再入国できるというものです。
許可証は、有効な旅券(パスポート)にシールのような形で貼付しますが、旅券のない人には許可書の形で発行されます。
Travel Document(トラベルドキュメント)
ところで、パスポートを持たない人っているの?と思われるかもしれません。
ベトナムやカンボジアなどの難民認定された方や、その方々が日本に住むようになってから生まれたお子さんには、本国に国籍がありません。
また日本人でもないため、日本にいる間は在留カードが身分証明書になりますが、本国に行くなど海外に出る場合は再入国の許可書で渡航しています。
一般には海外渡航の際に身分証明となるのはパスポートですが、例えば船員の人は、船員手帳(mariner’s pocket ledger)を身分証明書として外国に上陸できます。
また米軍の兵士は日米地位協定の規定から、米軍の身分証明書と旅行命令書を携帯していれば、パスポートが無くても日本に入国できるそうです。
このようにパスポートは、数あるトラべルドキュメントの一つと考えられます。
再入国の許可書でビザ取得
さてベトナムのご一家のお話に戻ります。
お嬢様は、日本人男性とご結婚するにあたり、すでに帰化をして日本の国籍を取得していました。
ご両親と弟さんは、日本の永住権をお持ちでした。
家族揃ってハワイで挙式をということで、日本人のフィアンセの方にもご協力いただき、3人分の書類準備を頑張ってしてくださいました。
お父様は仕事で忙しい方だったのですが、大使館の面接には何とかご家族3人で揃って行っていただき、無事にビザを取得することができました。
パスポートはなくても再入国の許可書で大丈夫、日本との深いつながりを証明できたので、アメリカ大使館はご家族のビザを認めてくれたのです。
もし同様のお立場でアメリカ旅行をためらっている方がいらっしゃいましたら、安心してB1/B2ビザ申請をしていただければと思います。
前回の記事、ベトナム人エンジニアのビザ取得事例はこちらです。↓
2019年追記
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オンライン申請はできたけど、サポートドキュメントの種類や作り方がわからない、という方にお勧めします。