11月10日のベトナム(ダナン)で行われたアジア太平洋経済協力会議(APEC会議)において、アメリカのトランプ大統領が演説したのは記憶に新しいところです。
日本のニュースでは主に、トランプ大統領がインド太平洋地域に対するアメリカの姿勢を表明したことが伝えられましが、ホスト国ベトナムについて言及したところが、個人的には印象的でした。
ベトナム戦争があった過去にも関わらず、現在の米国とベトナムの友好的関係を称賛した上で、
「この半世紀にベトナムは、その開かれた経済により大きく発展した。ベトナムの学生は世界で最も優秀だ」
と述べたところ、会場には拍手が起こり、ちょっと感動的だったのです。
当事務所でこの8月~9月にかけてお手伝いさせていただいた中に、ベトナム人の方がいらっしゃり、まさしくその優秀さゆえの手続きが発生しました。
トランプ大統領の演説を受けて、今回はその事例をご紹介します。
ベトナム人の申請者
ご依頼下さったのは、岐阜県の製造業様でした。
アメリカへ業務用機械を輸出しており、ベトナム人のエンジニアを派遣してメンテナンス方法を指導させたいと、B1ビザの取得をご希望でした。
ベトナム人社員様は20代の若い方でしたが、この会社の製品開発からメンテナンスまですべてを担当していらっしゃり、履歴書を拝見したところ、かなりの専門知識と経験をお持ちでした。
現地での指導は彼でないと務まらないので、ビザの取得は必須でしたが、アメリカ出張の前にドイツ出張も控えており、その合間を縫ってのビザ申請となりました。
アメリカビザの取得は、順調に行けば領事館の面接後、1週間でパスポートが戻ってきます。
ただ領事館の状況や日米の祝祭日により、この日数は前後することがあるため、余裕をもった申請が大切です。
会社様と日程を確認した上で「これなら大丈夫」として面接を受けていただいたものの、領事館の判断は、単なるB1では無く「B1 in lieu of H1B」に該当するとの結果だったのです。
B1 in lieu of H1B
B1 in lieu of H1Bとは、B1なんだけどH1Bに近く、でもアメリカの移民局で就労許可を得る必要は無いものです。
大学や大学院での研究成果や成績の優秀さから、この方は単なるB1の範囲を超えているという判断になったみたいです。
追加で申請書を出してくださいと言われましたが、ドイツ出張を挟むことからパスポートを預けられなくて、結局米国出張の日程を調整していただくことになりました。
ドイツから戻られるのを待って、改めてパスポートと書類を送付、すぐに1年のビザが取得できました。
優秀なエンジニアだからこその事例です。
このほかベトナム人の方の事例では、日本で難民認定を受けていて、パスポートをお持ちでないご家族の申請もありました。
次回は、このご家族3人でアメリカB1/B2ビザを取られたケースについて、ご紹介いたします。