行政書士の横山です。
新しい在留資格「特定技能」は、2019年4月に導入されました。
2018年12月の臨時国会から約1年。
産業界からの要望で4月には新制度が始まりましたが、ビザを取り扱う行政書士としては、期待していたほどは普及していないように感じていました。
そんな中、11月初めに東京出入国在留管理庁横浜市局の方の講演を聞く機会があり、そのハードルの高さが見えてきましたので、いくつか情報をシェアいたします。
14職種と担当省庁
簡単におさらいすると、「特定技能」とは、対象となる14の産業分野(職種と考えてください)において、協定を結んだ国(現在9ヶ国、二国間協定を参照)の就労者を雇用できる制度です。
特定技能ができる前は、外国人就労者には学歴や職歴などの高い要件がありましたが、新制度では、就労者側の要件は大幅に緩和された形です。
14分野は今後増やしていく方針とは聞いているものの、時期は未定です。
2019年11月時点
施行から半年以上たった今、ビザを許可する入国管理局では実際にどのような運用をしているのでしょうか。
※11月1日時点の数字です(登録支援機関の全国の許可数のみ11月14日時点の件数)。
多いか少ないかは正直ピンときませんが、これまでのところ横浜支局では、大手企業からの申請が中心とのお話でした。
新制度では「大手による実績が積み上がった後で中小が参入しやすくなる」とは聞いたことがありましたが、特定技能もそういう道をたどるのでしょうか。
申請のポイント
とはいえ、せっかくの制度ですから早く利用したいですよね。
今回の講演で目立ったもう一つのポイントは「担当省庁との確認」でした。
すでに申請業務を受任している他の行政書士からは
「○○省(担当省庁)に電話して聞いたら入国管理局に聞いてくれと言われ、入国管理局に聞いたら○○省の全く同じ部署に聞くように言われ。。。結局どうしたら良いのか?(いわゆるたらい回し!)」
という質問も出ました。
新しい制度のため、担当省と入国管理局の双方ともはっきりした回答をしてくれない(できない)状況であるようです。
入国管理局としては、まず特定技能の認定申請があってから各担当省庁に照会をかけ、省令(上乗せ告示)の細かい要件確認をするそうです。
申請を提出する側としては、事前に正解の無い状態で出さなければならないようです。
受入機関の体制
特定技能外国人を雇用したい会社は人手不足の業界ですから、小規模な事業者も少なからずいらっしゃいます。
例えばご家族経営の町工場などを想定すると、社長様のご主人と社内事務を担当される奥様とで回していらっしゃる場合がありますよね。
そこに特定技能外国人を雇用しようとして、社長様が管理責任者、奥様が担当者の立場では体制として認められないかもしれません。
要は、管理責任者と担当者が縦の線(利害が一致する関係)だと、外国人の管理に支障が生じる可能性があり、中立的な立場の人を入れなくてはならないそうです。
まとめ
今回の講演を聞いて印象に残った手続面でのハードルの高さは、以下の4点です。
1.特定技能外国人を受け入れるためには、指定の協議会に加入しなくてはならない。
2.中小企業の受け入れが本格化するまでには、まだ時間がかかりそう。
3.申請後にいろいろな追加資料を求められる可能性大。
4.小規模事業者は、体制づくりにもひとハードルありそう。
次回は、特定技能に関する別の研修で学んだ内容(制度面)について、ご説明します↓