前回の続きです。
【特定技能】最新情報あり① 14職種一覧と担当省庁。ハードルの高さも見えてきた。はこちら↓
特定技能外国人の受け入れは、実務上も予想以上に複雑な制度設計になっていることがわかってきました。
外部記事(「特定技能外国人」が日本に来ないワケ)もご参考になると思います。
今回は、行政書士会(東京都港支部)で行われた研修内容から、個人的に印象に残ったことを制度面を中心にお伝えします。
登録支援機関の役割
ニュース等でご存知の方も多いと思いますが、「技能実習」の制度には本音と建前があり、外国人と雇用主双方にとって必ずしも公正な制度ではありませんでした。
そのため、送り出す本国から批判を受けていました。
特定技能では、技能実習生のように高額な借金を背負わされたり疾走したりということを避けるべく、外国人の権利を守る配慮がされています。
その一つが「登録支援機関」の設置です(義務ではありません)。
登録支援機関とは、技能実習制度で言うと監理組合に該当する機関で、特定技能外国人の雇用支援業務を行い、その責任を負います。
登録支援機関の業務は細かい届出制度や罰則で縛られていますが、特定技能外国人と受け入れ機関の双方を、中立的な立場でモニターする役割と言えます。
本国による管理
これまでの外国人就労者は、有効な在留資格認定証明書があれば日本に入国できました(フィリピン人を除く)。
ところが特定技能においては、まず日本と各国政府がそれぞれ協定を結び、出国におけるそれぞれ異なる管理が発生します。
もともとフィリピンで行われている上乗せの出国手続きを、特定技能では他国政府も設けることになりました。
※2019年11月末時点で、出国手続きのスキームが発表されているのはカンボジア(↑画像)のみです。
本国の思惑
アジア諸国で出稼ぎに行く人の目的地は、日本とは限りません。
中東や欧米、オセアニア等にも仕事はいくらでもあって、日本より就労ビザの取得が簡単な国もあります。
日本の特定技能制度は、まず日本語と技能試験を受けなくてはならないことがハードルだし、本国にとっても単に人材が出て行くだけでは面白くないようです。
技能実習制度では送り出しのエージェントを通すことで、本国の業者が儲けることができましたが、特定技能では直接雇用も可能のため、人材が日本に行っても本国にお金が落ちないケースがあるわけです。
これは、特定技能対象の各国による制度設計が遅れている理由の一つのようです。
まとめ
研修を受けて、特定技能の制度面の課題として、個人的に印象に残ったのは下記の3点です。
1.登録支援機関は、本来なら入国管理局が行うべき管理業務を負い、その責任は重い。
2.中小事業者は手続きの漏れを防ぐ意味で、登録支援機関を利用する方が良さそう。
3.関係者(担当省庁、入国管理局、送り出し国)間で整合性をとるため、制度の完成にはまだ時間がかかりそう。
迅速な手続が求められますが、その先の継続も大切だと思います。
当事務所では、長く続く雇用関係を念頭に外国人雇用サポートをいたします。