行方不明のマレーシア機MH370に搭乗していた乗員・乗客の口座から、HSBC銀行員が現金を着服したというニュースを先日紹介しました。
MH370に日本人の乗客はいなかったようですね。
私は去年だけでも3回はマレーシア航空を利用したので人ごととは思えません。
自分でなくても家族や知人が乗っていたら…
失踪宣告
このニュースから派生して、海外での行方不明における失踪宣告についてお伝えします。
海外を活用して行動範囲が広がるのはすばらしいことですが、同時に日本国内では考えられない危険や犯罪に遭遇する確率も増えます。
外国での治安や政治状況は正しい情報のもと、判断したいものです。
さて、日本の民法では、行方不明の人を死亡したものとみなして法律関係を安定させる、失踪宣告という制度があります。
消息不明になってから一定期間経過後に宣告される普通失踪と、戦争や船舶の沈没を危難とし、危難が去った時点で死亡とみなす特別失踪の二種類に分かれます。
航空機事故はこの特別失踪が適用されますが、MH370の場合、捜索が進んで何らかの証拠を発見すれば墜落が確定的となり、乗客の法律上の生死も決定します。
あくまでも推測ですが、墜落を断定できる証拠が少ない今の状態ではどこの国でも失踪宣告ができず、乗員乗客の法律上の地位は不確定なままなのではないでしょうか。
HSBC銀行の口座も、本人が死亡となれば口座はロックされ相続人の管理下になりますが、行方不明では口座はロックされず、一方で相続人もタッチできないという状態でしょう。
捜索が進んで(日本で言う)失踪宣告が可能になる前に銀行の内部操作で現金を引き出し、その日付を調整しておけば、あたかも本人がMH370搭乗以前に引き出したようになる、完全犯罪だったのかも???
法律上の手続き
あまり考えたくはありませんが、もし家族が海外で行方不明になったら法律上の手続きはどうしたら良いのでしょうか?
海外がからむ失踪宣告については、
- どの国の法律に従うのか?
- どの国が失踪宣告しうるのか?
の二つの問題があります。
行方不明時に日本に住所がある場合
↓
日本の家庭裁判所に失踪宣告を申し立て
↓
日本を管轄として財産の処分や相続などの手続を日本法のもとで進行できる
(普通失踪か特別失踪かによって手続き開始の時期は異なります)
日本に住所が無い場合でも、国内に存在する財産や法律関係については日本法による日本での失踪宣告が可能です。
家族が外国人だったり、外国に所在する財産や法律関係に関しては、外国法による海外裁判所での宣告が基本になります。
不明のマレーシア機からずいぶん脱線してしまいましたが、日本人の海外活動が広がれば
「外国と日本とどっちの法律に従うの?」
「外国では私の法律上の権利を認めてくれるのだろうか?」
は大切な問題です。
今後もケースバイケースでお伝えできればと思います。
まとめ
日本人の家族が海外で行方不明になったら、基本的には日本の家庭裁判所に相談可能。(もちろん警察が先です汗)
行方不明の原因や時期により失踪宣告がされ、日本法に基づく手続きができる。