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国内線なのにパスポート?マレーシアサバ州の入国制度からみる国家の設計思想

先日、私は台北経由でコタキナバルに入りました。

もちろんAPECビジネストラベルカードで入国審査を受け、他の入国者よりずっと早くイミグレを通過できたことは言うまでもありません。

ただそれ以上に特別なことは、何もありませんでした。

ところが2日目に合流した取引先の話を聞いて、「そういえば、サバ州にはMM2Hにも別枠があった」ことを思い出しました。

彼は一度クアラルンプールでマレーシアに入国し、その後、国内線でコタキナバルへ移動してきました。
すると――

「国内線なのに、再度パスポート管理を受けた」

同じマレーシア国内を移動しただけなのに、なぜもう一度管理があるのか。

そこには、サバ州特有の制度的背景がありました。

サバ州は“普通の州”ではない

コタキナバルがあるのは

マレーシア国サバ州。

マレーシアは1963年、マラヤ連邦を中心にサバ州・サラワク州などが合流して成立した国家です。

このとき、サバ州とサラワク州は高度な自治権を確保しました。

その一つが「入域管理権限」です。

つまり、同じマレーシア国内であっても、サバ州には独自の入域管理制度が存在するのです。

半島マレーシアからサバ州へ入る場合、

という仕組みがあります。

法律上は国内移動ですが、実務上は“準入国”のような扱いです。

国家は一枚岩ではない

日本にいると、「国=一つの制度」という感覚を持ちがちです。

国内移動に制限はありません。

しかし、連邦国家では事情が異なります。

国家は歴史的交渉の積み重ねで成立します。

サバ州は合流時に自治権を確保したから、今もその制度が残っている。

つまり

制度は条文だけではなく、歴史の結果である

今回の出来事は、そのことを実感させるものでした。

行政書士として感じたこと

私たちは日々、外国人の在留資格や出入国の制度にふれています。

しかし、制度は単なるルールの集合ではありません。

そこを理解しないと、本質は見えません。

サバ州の制度は、「誰を、どこまで、どう管理するか」という国家の選択の表れです。

日本は国内移動を自由にしている。

一方で、在留外国人に対しては厳格な管理を行う。

管理の線引きは、国家ごとに異なります。

実務にどう活きるか

ビザや出入国を扱う仕事をしていると、つい「書類が揃っているか」「要件を満たしているか」だけに意識が向きます。

しかし今回の体験は、改めてこう感じさせました。

制度は歴史の産物である

どの国も、自国の歴史や社会事情の中で制度を設計しています。

だからこそ、外国人支援業務において重要なのは、

だと思います。

最後に

私は台北から直接入国したため、その違和感を体験しませんでした。

しかし取引先の「国内なのに、もう一度パスポート」という一言で、サバ州という地域の特性が浮かび上がりました。

現地を歩くことは、制度を立体的に理解することでもあります。

机上では見えない国家の構造。それを実際に体験できたことは、非常に有意義でした。

今後も、制度の背景にある“設計思想”を意識しながら、外国人支援業務に向き合っていきたいと思いました。

最後までお読み頂きありがとうございました。この記事が参考になりましたら、この記事を共有していただけると嬉しいです。
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