水際対策強化にかかる新たな措置(19)は、2021年11月5日夕方に、唐突に発表されました。
入国規制が緩和されそうだという事前のリーク報道はあったので、心待ちにしていた事業者様も多いと思います。
昨年のちょうど今頃も、菅政権発足後に国境が突然開放されたことは記憶に新しいです。
ビザの取得やフライトの調整に、会社様も現地もバタバタしました。
さて今年です。
水際対策の中身は去年と比べると洗練された感があり、失敗や批判をふまえて作られたのだろうと感じます。
この緩和策、日本政府の方針が見えると申請もしやすくなると思います。
これから事前審査を申請する企業様も多いと思いますので、多少なりともヒントになればと、私なりに読み解いてみます。
批判轟々だった昨年
昨年一時的に国境が開かれた時は、「感染が落ち着いていないのに外国人を入れるのか!」という批判が多くありました。
入国後の行動規制も徹底できなかったため、対策の甘さが指摘されました。
批判を一身に受けたのは主導した内閣府だったかもしれませんが、実務にあたっていたのは入国管理局(法務省)と、検疫を担当する厚生労働省でしたよね。
具体例はわかりませんが、どうやら現場では、入国者の行動を追跡することができなかった様子。
確かに追跡アプリは普及しなかったし、そもそも入国した時点で日本で通用するスマートフォンを持っていないと、アプリのインストールをお願いしても意味がなかったです。
また昨年は、入国者を受け入れる人や会社が「誓約書」を作れば基本OKでした。
入国だけはさせてあげてあとはご自由に、といった無責任な誓約者がいたのかもしれませんね。
そういった経験も踏まえ、今年は管理責任を役所から民間に移譲、自主的に行動管理してもらうことになりました。
「そんなに文句言うなら自分たちでやってくれー!」
という厚生労働省の叫びが聞こえてきそうです(笑)
第1のキモは業所管省庁
私が今年の対策のハイライトだなと思う点は、なんといっても事前審査の申請先を業所管省庁としたところです。
業所管省庁とは、建設業や旅行業なら国土交通省、医療機関なら厚生労働省のように、事業の許認可を出すところです。
業所管省庁には事業の存続を握られていますから、申請する事業者としてはやはり緊張感が伴うものです。
そして各業所管省庁も、間接的な監視(圧力とも笑)は実行できるものの、煩雑な審査事務が発生します。
これで批判が厚生労働省だけに集中しなくなり、入国者を受け入れる責任は各省庁に分散されます。
第2のキモは活動計画書
入国後14日間の活動計画書の作成と提出においても、ガイドラインを読むと様々な制約があります。
原則として14日間の健康モニターは撤廃されていないため、入国から14日間は公共交通機関の利用はダメです。
自家用車または感染対策の徹底した予約タクシー、鉄道であれば席の予約、が求められます。
外食もレストランの個室を予約し、予約履歴は30日間の保存ですからかなり厳しいです。
コロナ対策責任者を任命して活動計画にそった行動をするよう、入国者をモニターするのは事業者側の責任です。
活動計画書は入国の1週間前までに空港の入国管理局と共有するため、計画(特に到着便)に変更が生じる場合は事前に再申請しておかないと、スムーズに入国できないかもしれません。
これが米国なら「活動計画書と違う!」と言われて、別室に連れて行かれるパターンですよ。
日本政府の考え方としては、入国後の活動は行き当たりばったりではダメ、事前に計画/予約完了し、計画書に沿って過ごしてくださいね、というものでしょう。
事業者は自信をもって対応しよう
ネットのニュースなどでは、欧州で感染が拡大しているのに水際対策を緩めるなんてという意見も散見されます。
しかし、今回の措置のガイドラインや説明資料を読み込んでも、事業者が常識的な責任ある対応をする限り、けっこうな行動制限の緩和が認められる印象です。
例えば欧州から人を呼びたい場合でも、欧州は感染が増えているからダメとは言われません。
ルールと枠だけ示し、あとはケースバイケースの感染対策と自己判断でお願いします、という方針なのです。
発生から1年半以上が経過し、私たちは多くを経験し学んできました。
現場の事業者様には、感染対策のノウハウが積み上がっているはずです。
日本ではWithコロナを実現しながら経済も回せることを、こんどこそ世界に示す絶好の機会になるのでは?と、個人的に期待しています。
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